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畜産の用語

畜産業界で使う言葉は、聞きなれない。でもこんな意味があったんだ!
親方の言っていることが、ズンズンわかる。
一般の事典には載ってない、畜産特有の用語を解説します。

   か  さ  た  な  は  ま  や  ら  わ

【あ】

あい気:「おくび」とも言う。げっぷのこと。牛は反芻動物であり、飼料を食べると、反芻胃の中で分解されて発酵産物であるガスが生じる。これがあい気として排出される。何かの原因で停止すると胃にガスが充満して鼓脹症となる。

青刈り:飼料用の作物(とうもろこし、ソルガム、麦類、米など)や牧草を収穫した生の状態。サイレージ化や乾草調製せずに、そのまま給与することを青刈り給与という。

赤クローバ:マメ科牧草クローバの草種。花房が赤い。蛋白質とミネラルの含量が多い。イネ科牧草と栽培される(混播という)。播種後4年程度で個体数は減少する。北海道や東北の冷涼湿潤な気候に適し、耐寒性もある。

アシドーシス:血液や第一胃液(ルーメンジュース)のpHが低下し、酸性に傾いた状態を言う。大麦、とうもろこしなど澱粉の多い飼料を、短時間に多量に食べた場合に起こる。重度の消化障害を引き起こすので、給与方法には注意が必要である。

圧片(あっぺん):とうもろこし、大麦などの穀類を、加熱しながら圧力を加えて平たくする処理のこと。主要成分の澱粉がアルファ化され、表皮に傷がつくことで消化率が上がる。

後産停滞(あとざん ていたい):胎児が娩出後12時間を経ても胎盤が排出されない状態。過肥、運動不足、高泌乳牛、難産などで発症が多い。

アニマルウェルフェア:家畜福祉の意味。飢えと渇きからの自由、疾病やケガからの自由、不快環境からの自由、正常行動を発現する自由、恐怖や苦痛からの自由を尊重する考え。

アミノ酸:タンパク質を構成する単位で、カルボキシル基とアミノ基を有する化合物。天然のタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されている。そのうち必須アミノ酸と呼ばれる、動物体内で合成できない(又は非常にしづらい)ために食物として摂取する必要のあるアミノ酸には、フェニールアラニン、トリプトファン、リジン、メチオニン、トレオニン、イソロイシン、バリン、ロイシンの8種がある。牛などの反芻家畜ではルーメン微生物が補うが、泌乳最盛期にはリジンやメチオニンの合成が追いつかず考慮が必要とされる。

アルファルファ:寒地型マメ科牧草の草種。ルーさんとも呼ばれる。タンパク質、ミネラルに富み、収量が高く、乳牛の嗜好性も良好。単播かイネ科牧草との混播で栽培され、サイレージ利用が多い。温度が高く、排水の良好な圃場を好む。

【い】

イアコーン:トウモロコシの雌穂(実の部分)は外側から苞皮(husk)、子実(kernel)、穂芯(cob)に分かれるが、これらを合わせた部分をイア(ear)という。高エネルギなので自給濃厚飼料として生産される。

育種価:家畜の乳量や発育など特定の形質に関与する遺伝子の平均効果の和を表す値。種雄牛能力評価値は育種価を種雄牛ごとに整理したもので、遺伝的に優れた種雄牛を選ぶのに用いられる。子にはその1/2が遺伝する。

育成:子牛を成牛に育てること。出生時から初回分娩時までを指して、育成牛と呼ぶ。そのうち母乳や液状飼料を給与する時期を哺育期、その後受胎を境に育成前期と育成後期に区分する。

移行期:分娩後の乳量の増加率や繁殖性、代謝病発生率などに大きな影響を与える分娩前3週間の期間を指す。分娩前3週間は胎仔の急激な成長とそれに伴うルーメンの圧迫、ルーメン柔毛の再生、分娩後泌乳開始によるカルシウム代謝の急変や栄養要求量の急増など、様々なストレスを受ける。この時期の栄養代謝を破綻せずに乗り切るには移行期の管理が重要と言われている。

異嗜(いし):飼料でないものを食べたり舐めたりすること。土や樹皮、建物の柱や糞など様々なものが対象となる。原因は、飼料の不足、栄養素の欠乏、中枢神経系の障害、ストレス等が考えられている。

維持栄養:体重を維持するのに必要な栄養のこと。環境温湿度、活動量などにも影響を受ける。維持要求量に加え、増体、泌乳、妊娠等の要求量の総和が、栄養要求量となる。

異常風味:牛乳の風味が通常と異なる状態。オフフレーバーとも言う。原因として、飼料臭や牛舎臭などの生乳移行(移行臭)、乳中の脂肪分解(ランシッド臭)、細菌繁殖の酸臭や腐敗臭(微生物臭)、乳中不飽和脂肪酸酸化のダンボール臭や金属臭(酸化臭)などがある。

イネ科牧草:イネ科の多くは多年生で永続性に優れ、基幹的草種として採草または放牧利用されている。チモシー、オーチャードグラス、メドウフェスク、ペレニアルライグラス等がある。

イヤータッグ:牛の個体識別のために耳に取り付けるプラスチック製の標識で、耳標とも呼ばれる。

インラインフィルター:生乳に混入したゴミ等を取り除くろ過装置。送乳配管内に組み込んだホルダーに網目が約70μの専用フィルターを取り付けて使用する。フィルターは袋状で、その形状からソックスフィルターと呼ばれており、使い捨てとなっている。

【う】

ウォーターカップ:主に繋ぎ飼い牛舎で使われる給水器、牛の口が入る程度のカップ状になっている。押しベラで水が出るタイプ(押しベラ式)が一般的であるが、汚れが付きやすく清掃が必要である。

【え】

エアーブリードホール:ミルカーのクローにある直径0.7㎜程度の吸気口。搾乳中のクロー内圧を一定に保つ役割があり、ミルクチューブ内、バケットやミルク配管へ生乳がスムーズに流れる。

越冬性:牧草が冬期間の凍結、積雪、凍上、乾燥、融雪、病害等に耐えて生存する能力。一般にチモシーは強く、オーチャードグラスやメドウフェスクは中間、ライグラス類、エンバクは弱い。

エンドトキシン:菌体内毒素のこと。グラム陰性菌の細胞壁に存在し、細菌の死滅で放出される。大腸菌性乳房炎の発熱とサイトカイン産生によるショック状況や潜在性ルーメンアシドーシス時の血中濃度上昇による毛細血管の炎症(蹄病に関連)で注目されている。

【お】

横臥(おうが)四肢を伸ばして横倒しの姿勢、後肢を曲げて座った姿勢(伏臥)等をさす。牛は横臥だけでなく佇立(ちょりつ)姿勢でも休息している。

オーチャードグラス:多年草の寒地型イネ科牧草。耐陰性、耐暑性、耐乾性など環境適応性に優れているので、国内草地の基幹的草種として栽培されている。再生力旺盛で、多肥多回利用で収量性が高く、採草にも放牧にも利用される。
 耐寒性はチモシーに劣り、道東では越冬性が不安定で、再生草の嗜好性はやや劣る。

オープンリッジ:畜舎の棟部を全面開口し、軒下開口部(オープンイーブ)から吸気することで、風力と内外気温差で連続的に換気する自然換気方式の一つ。冬でも安定して換気できる。

オキシトシン:視床下部の神経核で作られ、下垂体後葉に貯蔵されるペプチドホルモンで、催乳ホルモン、子宮収縮ホルモンなどと呼ばれる。吸乳や搾乳の刺激で放出されたオキシトシンは、乳腺胞を取り巻く筋上皮細胞を収縮させて乳を外に押し出して射乳を引き起こす。分娩時には子宮の平滑筋を収縮させて、胎子の娩出を促す。

温湿度指数:牛の不快指数のこと。英語表記(temperature humidity index)の略称THIも使われる。牛は、人と同じく気温と湿度とに影響を受け、下記の式で計算する。
 温湿度指数THI 0.81×気温℃+0.01×相対湿度%×(0.99×気温℃-14.3)46.3
 
牛では、THI72以上で中程度のストレス(乳量減少)80以上でかなりのストレス、90以上では重度のストレスとされる。

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